AIに作業を頼むとき、私が毎回説明しなくて済んでいることがあります。
このフォルダの外に手を出さないこと。消す前に控えを取ること。報告はファイルに書き出すこと。作業のたびに履歴へ追記すること。
これらは指示書には書いていません。作業する場所に置いてある1つのファイルに書いてあり、AIが起動するたびに自分で読みます。
AIは前回の作業を覚えていない
前提として、この仕組みが必要な理由を書いておきます。
AIに作業を頼むと、そのときは決まりを理解して動きます。ところが次に頼むときには、前回のことを覚えていません。毎回、初めて来た人として現れます。
だから、決まりをチャットの中で伝えても意味がありません。その場では守られますが、次には残っていません。
私は最初、チャットのやりとりで決まりを伝えていました。同じ説明を何度もしていることに気づいて、ファイルに移しました。
書いた決まりが1回で消えた
実際にあったことを書きます。
報告の書き方を決めて、その場で守らせました。次の作業でも同じように頼むつもりでいたのですが、指示書に書き忘れました。結果として、決めたはずの形式が守られていません。
守らなかったのではなく、伝わっていなかったわけです。ファイルに書いておけば、私が書き忘れても読まれます。
実際に書いている7つの節
いま、そのファイルには7つの節があります。順に挙げます。
1 この場所は何か
このフォルダが何のためのもので、どのサイトを扱っているかを書いています。
あわせて、この外に手を出さないことを明記しています。私は複数のサイトを1台のサーバーで運用しているため、別のサイトのファイルに触れられると困ります。
2 参照する書類の場所
決まりの本体は別のファイルにあります。その場所を書いてあります。
分けている理由は、複数のサイトで共通の決まりと、このサイトだけの決まりを混ぜないためです。共通のものを直したら、全部のサイトに効いてほしい。
3 作業のたびに記録すること
作業を終える前に、履歴のファイルへ追記することを書いています。
日付、何を変えたか、変える前はどうだったか、なぜ変えたか、どう確かめたか、元に戻す方法。この6つを毎回そろえさせています。
元に戻す方法を書かせるのが要点です。書けないということは、戻せない変更をしたということなので、その時点で気づけます。
4 やってはいけないこと
外部から取ってきたものを勝手に本番へ入れない。共通の設定を変えない。秘密の情報を書類に書かない。
この節は、事故のたびに増えました。
5 報告の出し方
これがいちばん長い節です。
報告はファイルに書き出すこと。画面には場所と結果だけを出すこと。1行を長くしないこと。表を横に広げないこと。
この節ができたのは、報告が2回続けて途中で切れたからです。幅の広い表が原因でした。その経緯は AIの完了報告が2回続けて途中で切れた 原因は表だった に書いています。
6 点検の命令の書き方
使ってはいけない命令の書き方を、理由つきで書いています。
これは、点検の命令そのものが誤っていて、日本語の文章を全部数えていたことがあったためです。同じ命令を毎回書き直すと、また同じ誤りが起きます。だから、正しい書き方をファイルに残しました。
7 書類の置き場所
どのファイルが何のためのものかを一覧にしてあります。
これが無いと、記録を書く場所を毎回聞かれます。
節が増えるきっかけは、だいたい同じ
7つの節を見ると、増え方に共通点があります。
同じ説明を2回した時点で、ファイルに移しています。1回目は説明します。2回目に同じことを言っていると気づいたら、そこで書きます。
逆に言えば、先回りして全部書くことはしていません。何が必要かは、やってみないと分からないためです。最初に作ったときは3つの節しかありませんでした。
指示書との使い分け
毎回変わらないことをファイルに、今回だけのことを指示書に書いています。
指示書に書いている5項目については、AIへの指示書に必ず書いている5つの項目 実物の型を公開します にまとめました。
判断に迷ったときは、次に同じことを言うかどうかで決めています。言うならファイル、言わないなら指示書です。
ファイルに書いても、読まれない場合がある
正直に書いておくと、書いてあるのに守られないことがあります。
私の経験では、ファイルに書いた決まりと、指示書に書いた内容が食い違っているときに起きます。指示書のほうが新しいので、そちらが優先されるのだと思います。
対策として、指示書のほうに「これは書いてあることと違うので、こちらを優先する」と明記するようにしました。食い違っていることを、こちらが自覚しているかどうかの差です。
最初に書くなら、この2つ
これから同じ仕組みを作る人がいたら、最初に書くとよいと思うのは次の2つです。
1つは、触ってはいけない場所です。これだけは、事故が起きてからでは遅いためです。
もう1つは、作業を終える前にやることです。記録を残す、確認する、報告する。終わり方を決めておかないと、毎回違う形の報告が来ます。
残りは、同じ説明を2回した時点で足していけば足ります。最初から完成させようとすると、いつまでも始まりません。

